京都紅茶道部支配人みこどんの追記

国産紅茶の事や国産紅茶専門サイト京都紅茶道部の記事ついての解説などを書いてます。

日本の紅茶の歴史を紐解く

・日本の紅茶の歴史の通説

日本に置いて紅茶とのつながりは2つの時点において存在します。

 

1:日本人で初めて紅茶を飲んだ

2:日本で初めて紅茶を作った

 

 『日本人で初めて紅茶を飲んだ』と言われるのは、11/1の紅茶の日でもおなじみの伊勢の商人大黒屋光太夫であり、彼が駿河沖で暴風にあい漂流、アリューシャ列島の島に漂着したことにより、ロシア人と出会い帰国するためにサンクトペテルブルグに居るロシア皇帝エカチェリーナ2性と謁見し、帰国へ向けて動き出す時に、エカチェリーナ2世に紅茶を振る舞われたということから、『日本人で初めて紅茶を飲んだのは大黒屋光太夫ではないか』と言われています。

 

『日本で初めて紅茶を作った』と言われるのは、明治新政府の要人大久保利通が、欧米視察をしてきた際に、『欧米で茶がよく飲まれている。欧州は紅茶が主で、米国も今は緑茶が主だがいずれ紅茶になるだろう』と睨み、中国から技術者を招いて中国式の紅茶作りを今の大分県佐伯市熊本県山鹿に製造実習と講演会を開いたことによるとされています。

 

この2つは共に、記録に残るものであり、事実として疑いのないものです。

ですが、それが歴史の真実なのか、多くの専門家が色々な資料を元に、時の流れに埋もれてきた真実を探り当ててきた事もあります。

 

・『日本人の初めての紅茶』の真実

日本人で初めて紅茶を飲んだ大黒屋光太夫。

今でもそう思う人は多くいて、日本紅茶協会のサイトでも紅茶の日の項目ではそれらしく書いてあります。

(現在はどっちでも取れる書き方になっております)

ですが、昨今の研究では、日本人としての紅茶の接点は江戸時代初頭1600年代にはすでにあったようで、ヨーロッパ向けに輸出されてた茶の一部が日本にも入ってきた記述があります。

私も紅茶の日の度にツイートしているんですが、現在残っている資料で確実に記載されているのは、『青湾茶話』と言われる本で、それに中国で武夷、ヨーロッパでボヒーと言われていた紅茶もしくは半発酵茶が記載されており『そんなにも美味しくない』という書き手としての好みの感想も書かれていました。

時期が日本に煎茶としての緑茶の飲み方を伝えた隠元禅師が日本に来た時期とも重なり、今までの抹茶を点てて飲む『抹茶法』と違う先進的な飲み物一部として当時の紅茶ボヒーも見られていたのかもしれません。

ただ、煎茶ほど全国に広まるわけもなく、一般的にならないまま、輸入品を手に入れられる一部の人達の趣味の飲み物としての位置づけが続くことになります。

 

お茶は日本の主力産業だった | 日本国産紅茶専門ポータルサイト京都紅茶道部

 

・『日本で始めて作った紅茶』の検証

明治期に、海外に輸出する商品作物としての紅茶を創りだそうと国策で始めたというのが、一般的な見方です。

ですが、国産紅茶専門店紅葉の店長さんが、この見解を覆す話を耳にしました。

『日本で初めての紅茶作りは佐賀県で行われた』

はじめは幕末の豪商大浦慶が緑茶を6t九州全土からかき集めてアメリカに輸出したという逸話からかなと思っていたらしいのですが、どうやらその方の話ではその大浦慶と一緒にオランダに送ったという話しらしいのです。

その後詳しく話を聞きましたが、いまいち釈然とできない状態だったらしく、ご本人で調べることに。

 

日本で最初に紅茶作りに関わったのは、九州の政商松尾儀助という方で、この方は起立工商会会社という美術品などの輸出をする半民半官の企業を作り欧米に輸出していたことで知られています。

この方が、当時の主人佐賀藩士の野中元右衛門に命ざれ、紅茶作りを試みたという資料があるそうです。

それは大久保が紅茶の生産を命じた時期よりも以前で、今のところ記録に残る最古の日本の紅茶生産の記録ではないかと思われています。

 

国産紅茶専門店 紅葉~くれは~, こだわりの国産紅茶を貴方に。

・全ての出来事には歴史に残るものと残らないものとある

すべての事柄には『公伝』や『私伝』があるように、公式に残るものとそうでないものがあります。

例えば仏教伝来で言えば、日本に仏教がもたらされたとされる公伝は538年に宣化天皇の御世とされていますが、私伝では522年に司馬達等が渡来する時に持ってきたとされています。

私達が学生時代は日本初の貨幣は和同開珎とされていましたが、昨今の研究で富本銭が発掘されました。

 

このように、歴史は日々の研究や発見なので変わっていく傾向にあります。

今後、より詳しい資料の発見や研究の進展により、また新しい紅茶の歴史が見つけられるかもしれません。

その時に新しい真実を私達は柔軟に受け入れられるように努めないといけないなと思っております。